動いている車同士の自己だと、両方に過失割合が出る?

 良くあるご相談で、「交通事故では動いている車両同士の事故だと、両方に過失割合が出ると聞きました」というものがあります。

 これは、真実でしょうか。

 結論から申し上げますと、間違っています。

 まず、一方が止まっている車両でそこに向かって追突するという事故類型だと、衝突された方の過失が0となることが多いです(追突事故や玉突き事故など)。

 一方で、両方が動いている車両同士であっても、一方の過失割合が0となることはそれなりにあります。

 これは、なぜでしょうか。

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どういうときに過失割合が0となるか?

結果回避義務違反とは?

 まず、過失とは法的には、予見可能性を前提とした結果回避義務違反です。

 難しいので、かいつまんで言うと、運転者が事故の発生を予見できないか、結果を回避できる可能性が無い場合、その人には、「過失がない」、すなわち過失割合が0になるということです。

 ということは、動いている車同士の事故であっても、その車に事故の予見可能性か結果回避可能性が無い場合には、動いている車の過失が0になる可能性があるということです。

 ただし、実際には、動いている車同士だと、なかなかそういう判断にはならず、過失が付いてしまうことが多いというのが実際です。

過失修正要素とは?

 もう一つ、別のパターンとして、基本過失割合では、双方に過失が出る場合であっても、過失修正要素を考慮した結果、一方の過失が0となるというパターンもあります。

 例えば、基本過失が1:9の事故の場合、1側の過失を1割減する修正要素がある場合、双方の過失は、0:10になります。

 これが動いている車同士の事故であっても、一方の過失が0となる場合です。

 このように、過失割合は、動いている車同士であっても一方が0となることはそれなりにあるのです。

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