交通事故訴訟における弁護士費用の請求とは?

 交通事故訴訟で、相手方に損害賠償請求を行うとき、「弁護士費用」を損害の項目として、請求するのが、一般的です。
 では、この「弁護士費用」とは、いったい何なのでしょうか。

 これは、簡単に言うと、「交通事故に遭った場合、弁護士に依頼するのが、通常である」ということで、交通事故によって、被った損害として請求できる損害項目となります。
 ここで、読者様は、2つの疑問を持つはずです。

 一つ目は、交通事故以外の訴訟では、弁護士費用を請求できないのか。

 二つ目は、訴状に記載された弁護士費用が、実際の弁護士費用と違うのはなぜか・・・という点です。

①交通事故以外の訴訟では、弁護士費用を請求できないのか

 まず、この弁護士費用ですが、一般的に交通事故等の不法行為に基づく賠償請求を行う際には認められる一方、契約違反等の債務不履行の場合には、認められないことが通常です。

 つまり、訴訟上の請求であれば、どの請求でも弁護士費用を請求できるわけではなく、交通事故という類型であるため、弁護士費用を相手方に請求することができるというわけです。

②訴状に記載された弁護士費用が、実際の弁護士費用と違うのはなぜか

 では、訴状に記載された弁護士費用と委任契約上の弁護士費用が異なっているのは、なぜでしょうか(通常は、訴訟上の請求額の方が、実際の弁護士費用よりも少ないことが多いかと思います。)

 これは、裁判例上、弁護士費用は、かかった実費全額が認められるわけではなく、「相当と認められる範囲内」においてのみ認められるとされているためです。
 そして、この「相当と認められる範囲内」とは、一般的には、「総損害額の1割」程度とされることが多いです。そのため、裁判上の弁護士費用と実際の弁護士費用には、差があるのです。

 なお、この裁判上の弁護士費用ですが、任意交渉においては、まず保険会社は、認めてはくれません。

 また、裁判上の請求においても、和解の局面では、弁護士費用相当額は、ある程度ディスカウントされてしまうことが多いです(さらに言えば、弁護士費用が認められる局面においても、総損害額が減額されていれば、総損害額の1割が認められる弁護士費用も当然に減額されます)。

交通事故訴訟における弁護士費用は、一定額で認められる

 このように、裁判上の弁護士費用は、一定額の範囲では認められるものの、その全額が認められるわけではない点については、留意が必要です。

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