若い方で自動車の任意保険に入ろうか迷っている方へ 

医療従事者のイラスト

 先日、インターネット記事で、20代の約4割が自動車の任意保険に未加入であるというアンケート結果を見つけました。

 地域差や自動車利用の頻度などによっても違いはあるかと思いますが、相手方への賠償を行う「対人・対物賠償」の任意保険(いわゆる皆さんが想像する「任意保険」)は、自動車を運転する方であれば、絶対に入った方がいいかと思います。

 この点、「自動車の任意保険は高いから」、「自賠責保険に入っているから」別に入らなくてよいという方もいらっしゃると思います。
 しかしながら、自動車の任意保険に入らないという選択は、被害者のみならず加害者の人生も破壊する可能性が高いです。

 まず、賠償の問題から考えましょう。

任意保険に入らないで交通事故を起こしてしまうと…

 任意保険未加入者は、交通事故の賠償金額というものを甘く考えすぎです。

 交通事故で相手方を轢いてしまった場合、払わなければならない賠償としては、治療費、通院交通費、入院雑費、休業損害、傷害慰謝料、後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益、車両修理費、代車代、評価損等極めて多岐にわたります。

 特に、相手方に怪我を負わせて、後遺障害が残存した場合、賠償額は簡単に数千万円まで膨らみます。 しかしながら、自賠責保険から出るのは、「怪我・後遺障害」に対する賠償金の「ごく一部」です。

 では、残りの部分は、どうなるのでしょうか。払わなくていいのでしょうか。

 そんなことはありません。加害者が支払うことになります。

 20代でそんなに大金を支払う義務を負った場合、その後の人生は極めて厳しいものになることは想像に難くありません(20代でなくとも、これまでの貯金や信用を失います)。

任意保険未加入者には厳しい刑事罰の可能性も

男性のイラスト

 また、刑事事件的にも任意保険未加入者には厳しい判断が下る可能性があります。

 私は、加害者側の刑事事件も担当することがあるのですが、交通事故事犯で、被告人が任意保険に加入している場合、「今後、被害者に対し、損害の補填が行われる可能性があること」を法廷で主張します。

 刑事事件においては、量刑(刑の重さ)を決めるための一要素として、被害弁済が行われ得るかという点も考慮されます。

 もし、仮に、任意保険に未加入であった場合、損害の補填が行われない可能性があるため、上記のような主張をすることが難しくなります。そうすると、量刑が重くなる可能性が高くなります。

 このように、任意保険未加入者は、刑事事件上も不利益を受ける可能性があるのです。

示談交渉は自ら行わなくてはならない

 任意保険未加入者の不利益として、別の観点としては、示談交渉を任意保険会社が行ってくれないため、加害者自らが行わなければならない点もあげられます。

 交通事故被害者は、突如命を奪われたり、怪我を負わされたりしています。こういった方たちに、加害者本人が治療の対応や賠償の交渉を行うことは容易ではありません。

 一方、任意保険に加入していれば、加害者本人が相手方と直接やり取りしなければならない場面が減り、無駄な紛争を避けることができることが多いです。

任意保険には迷わず加入しましょう

 以上の通り、任意保険に加入していない方の不利益は、極めて大きいのです。それゆえ、私としては、少しでも自動車を運転する方であれば、迷わず任意保険に加入した方がいいと考えます。

 事故は、起きないと思っていても、起きてしまうものです。

 ですので、自分は大丈夫と思わず、是非、任意保険ご加入をお勧めいたします。お問い合わせはこちら

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