弁護士が介入するだけで賠償金が増額するケースがあります!

 交通事故に遭われた方が最も関心を持つと言っても過言ではない、「傷害慰謝料」。この金額はどう決まるのでしょうか。

 まず大前提として、傷害慰謝料は、「自賠責基準」、「保険会社基準」、「裁判所基準(弁護士基準)」の3つの基準があることを抑える必要があります。

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 この3つの基準は、自賠責基準<保険会社基準<裁判所基準(弁護士基準)の順に大きくなることが一般的で、このうち、裁判所基準にするためには、弁護士に依頼するか裁判等の法的な手続きを行う必要があります。その上で、裁判所基準の傷害慰謝料は、どう決まるのでしょうか。

3つの基準

 端的に答えを申し上げると、「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準 上巻」(通称、「赤い本」)に決め方が記載されています(「青い本」を参考にする場合もあります 「赤い本」と「青い本」は、別物です)。

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 もっとも、これだけでは、よくわからないよ・・・というのが本音かと思いますので、ざっくりとした考え方をお教えします。

傷害慰謝料の考え方について

①怪我が重いか軽いかによって基準が変わる

 まず、交通事故被害者の負った怪我が、骨折や脱臼などの重いものか捻挫などの軽いものかによって、適用される基準が変わります。
 重い怪我であれば、赤い本の別表Ⅰ、軽い怪我であれば、赤い本の別表Ⅱが適用されます。そして、同じ通院日数、入院日数であれば、重い怪我の方(別表Ⅰ)が、軽い怪我(別表Ⅱ)より、賠償額は、高く算定されます。

②通院期間と入院期間

 自身の怪我が別表Ⅰ、Ⅱのいずれが適用されるのか決まったら、次は、通院期間と入院期間を算出します。ここで、算出するのは、あくまで、「期間」であり、「日数」ではございません。

 この点が、よくご相談者様に聞かれる点なのですが、裁判基準(弁護士基準)の慰謝料算定は、通院実日数に一定額の慰謝料を掛け合わせて決まるというものではなく、通院「期間」に応じて、慰謝料が決まるというものなのです。

③もう一度、赤い本を見てみよう!

 そして、通院期間と入院期間の算出が終わったら、先ほどの赤い本の別表を見ます。その際、自分の入通院期間に対応する場所に記載された数字が傷害慰謝料となるのです(表にドンピシャということは少なく、実際には、細かい計算が必要となります)。

 簡単な例を挙げますと、頚椎、腰椎捻挫、6か月通院、入院無しの事例だと、赤い本別表Ⅱ、通院6月の欄を見ればよいことになるため、そこに記載された「89」万円が裁判基準の傷害慰謝料となります(ただし、以前このコラムで申し上げた通り、裁判基準は、「裁判」等の法的な手続きを取った場合の規定であり、任意交渉の際の傷害慰謝料は、裁判基準より、ディスカウントされるのが通常です)。

 傷害慰謝料は、弁護士にご依頼いただけると増額できるケースが極めて多いです。

 特に、当所は、成果報酬制の報酬形態にしたり、着手金をなしにしたりすることで、弁護士費用特約が無い方であっても、費用倒れが無いよう弁護士費用を決定するよう心がけています。

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 つきましては、傷害慰謝料について疑問をお持ちになった場合、ご相談いただけますと幸いです。お問い合わせはこちら

交通事故の賠償金は課税されるか?

 交通事故事件を受けていると、相当の頻度で質問を受ける内容が、「交通事故事件で得た慰謝料や損害賠償金に、税金ってかかりますか?」というものです。
 税金は、支払うことでお金を失うことはもちろん、単に確定申告を行うだけでもストレスが溜まるので、できれば避けて通りたいものです。では、交通事故の慰謝料や損害賠償金に税金はかかるのでしょうか。

 結論から申し上げると、原則「かかりません」(非課税)です。では、どういう理屈なのでしょうか。

 まず、一般的な交通事故被害者様は、個人であるので、個人に関する税金の規定を参照する必要があります。個人が支払う税金で、所得に関する税金・・・そう、所得税の規定を参照する必要があります。そして、所得税法9条1項18号や所得税法施行令第30条1号~3号等では、交通事故にまつわる一定の損害項目について、非課税とするという扱いが規定されています。

 交通事故の賠償金がなぜ非課税かというと、交通事故の賠償金は、「事故によってへこんだところを元に戻している」だけだからです。

 もし、交通事故の賠償金に税金を課すと、税金分、被害者が単に損をすることになります。交通事故の賠償金は、「プラス」ではなく、「マイナス」を「ゼロ」に戻しているだけなのです。
 ただし、交通事故の賠償金に課税関係が生じないというのは、「原則」の話であり、一定の場合、課税関係が生じることがあります(詳しくは、国税局のサイトなどをご参照下さい 所得税のみならず、相続税にも留意する必要があります)。

 もっとも、一般的、典型的な交通事故被害者の方には、課税関係が生じないのが通常です。ですので、交通事故に遭われた方は、あまり税金にナイーブになる必要はありません。

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