保険会社から「医療照会します」と言われました
交通事故で怪我に遭い、病院で治療を継続していると、相手方保険会社が「医療照会しますから」と言われることがあります。
この医療照会とは何なのでしょうか。
まず、医療照会とは、相手方保険会社が、交通事故被害者の通院している病院(医師)に対し、交通事故被害者の治療状況や症状の内容などについて問い合わせることを言います。
これはなんのために行うかというと、患者さんの状況を確認するために行います。
なぜ、保険会社は、患者さんの状況を確認するのでしょうか。
正直ベースでお話しすると、治療費の支払いを打ち切るためや休業損害の支払い期限を区切るために行うことが多いです(もちろん、例外はあるとは思いますが・・・)。
ここで、保険会社は、いったい何の権限があって、患者の個人情報を取得しているんだ?という疑問が生じるかと思います。しかしながら、交通事故被害者は治療の初期段階で、保険会社に対し、「同意書」を送付しているかと思います。この「同意書」には、医療照会の同意も含まれていることが通常です。
すなわち、交通事故の被害者様は、自ら保険会社に医療照会の許諾を与えていることが通常なのです。
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保険会社から届いた同意書は出した方がいいでしょうか?
ここで、交通事故の被害者様から、「それなら、同意書を出さなければ、医療照会が行われないから、保険会社に自身の医療情報を不利に扱われないのではないか?」という疑問が生じるかと思います。
しかしながら、医療照会の同意書を出さないという選択肢は、事実上難しいと言わざるを得ません。
これは、保険会社が治療費を支払うか否かの選択権を事実上握っていることから、「同意書を出さなければ、治療費の対応は行わない」と言われてしまうからです。
では、医療照会に対し、交通事故被害者が取れる手段はないのでしょうか。実はあります。
それは、交通事故被害者と医師との間で良好な関係を築いておくことです。
医師は、患者と短い時間しか接しません。そうすると、交通事故被害者の症状や被害の実態があまり伝わっていないことが少なくありません。
このような状態で医療照会が行われると、患者さんの実態より不利な回答が医師よりなされるということは多いです。
一方で、医師と適切なコミュニケーションが取れている状態だと、保険会社からの医療照会に対し、被害者のことを真摯に理解した回答を行ってくれることが多いです。
このように、医療照会の回答者に先回りして対策をしておくということも大事になってきます。
ぜひ、皆さんも医療照会には、お気をつけいただきたく存じます。
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治療打ち切りのタイミングって?
交通事故の治療を続けていると相手方保険会社より、治療打ち切りの話が来ますが、保険会社が打ち切りを打診するタイミングには、偏りがあります。
①事故直後
相手方保険会社は、事故態様や規模によっては、そもそも保険対応をすべきではない事故と考えることがあります(受傷否認や検査のみしか認めない事案)。このような場合には、事故発生月以降の治療費を出さない旨主張してくるなど、事故直後から打ち切りの打診がなされます。
これが打ち切り第一のタイミングです(ただし、事故の規模がある程度の事故であれば、事故発生直後の打ち切り打診はないことも多いです)。
②事故から約3か月
一般にむち打ち症は、軽い症状のものだと、3か月位で治癒するといわれております。それゆえ、いわゆるむち打ち症だと、このタイミングで打ち切り打診が来ることが多いです。
ただし、この場合であっても、主治医がまだ治療を必要と考えているなど、治療をこの時点で終えることが適切でない事情を相手方保険会社に説明できれば、打ち切られないということも多いです。
③事故から6か月経つ「前」
保険会社は、むち打ちや捻挫症状であれば、6か月の通院をさせないよう、対応してくることが極めて多いです。これはなぜかというと、6か月の通院を認めると、後遺障害の認定があり得る状態となるからです。
逆にいえば、4~5か月通院した程度では、むち打ち、捻挫に関しては、後遺障害が認定されないのが通常です。それを逆手にとって、保険会社は、事故から4~5か月程度で打ち切りの打診をしてくるのです。
交通事故被害者は、事故から5か月位の段階で、保険会社より「治療を終了し、あとは後遺障害の申請をしてください」と言われることがあります。
しかしながら、そのタイミングでの申請によって、後遺障害の該当可能性があるのかは、よく考えなければなりません。
もし、保険会社から治療の打ち切り打診を受けているという方は、ぜひ一度弁護士に相談した方がよろしいかと思います。⇒お問い合わせはこちら
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